わが青春の光!歌人・村木道彦先生。

先生のしなやかな右手のチョークは、滑らかに美しい文字を描きだしていきます。

それは、10首ほどの自作の短歌。板書を終えると、村木先生の国語の授業が始まります。

するだろう ぼくをすてたるものがたり
マシュマロくちにほおばりながら


先生を一言であらわせば、都会から浜松(西高)にきたスタイリッシュな青年教師。

わたしの個人的な印象を、いま表現すれば、

小沢健二さんの空気感をまとったソフトでハンサムな兄貴といったものでした。


きみはきみばかりを愛し
ぼくはぼくばかりのおもいに逢う星の夜


わたしが知っていたそれまでの短歌というモノとはまったく別物で、

いま生きている。その息づかいが手に取るようにわかる歌でした・・・。


失恋の<われ>をしばらく刑に処す
アイスクリーム断ちという刑


高校生のわたしも、やがて足を踏み入れるだろう都会の空気を感じたモノでした・・・。

わたしの一年後輩に、村木道彦先生から大きな影響を受けて、のちにヒットメーカーとなる作詞家・康珍化(カン チンファ)さん(=森田 記さん|モリタ シルス)がいました。


また、村木先生は、のちに『サラダ記念日』で登場した俵万智さんほか多くの歌人に影響を与えることになります。


その後、先生は教員生活をつづけられて退職。いまも静岡県にお住まいのようです。

第一歌集『天唇』から34年後の2008年には、第二歌集『存在の夏』も出版されています。


村木先生の国語の授業は、わたしの人生にいまも彩りを与えてくれているのです。感謝。


0コメント

  • 1000 / 1000