先生のしなやかな右手のチョークは、滑らかに美しい文字を描きだしていきます。
それは、10首ほどの自作の短歌。板書を終えると、村木先生の国語の授業が始まります。
するだろう ぼくをすてたるものがたり
マシュマロくちにほおばりながら
先生を一言であらわせば、都会から浜松(西高)にきたスタイリッシュな青年教師。
わたしの個人的な印象を、いま表現すれば、
小沢健二さんの空気感をまとったソフトでハンサムな兄貴といったものでした。
きみはきみばかりを愛し
ぼくはぼくばかりのおもいに逢う星の夜
わたしが知っていたそれまでの短歌というモノとはまったく別物で、
いま生きている。その息づかいが手に取るようにわかる歌でした・・・。
失恋の<われ>をしばらく刑に処す
アイスクリーム断ちという刑
高校生のわたしも、やがて足を踏み入れるだろう都会の空気を感じたモノでした・・・。
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